「死にたい」と言われたら、どうしたらいい?

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学生時代、私の学校では毎年のように自殺者が出ていました。私の部活の先輩も自殺してしまい、私自身自殺というものについて深く悩みました。もし知り合いから自殺を考えていると言われた時、もしくは自殺を考えていそうだと気づいたとき対応について書いてみます。

自殺者の多くは、ひとりで悩んでしまう

日本財団が2021年に行った、日本財団自殺意識調査(第4回)というものがあります。この調査によると自殺未遂をした人のうち7割の人が「本気で死にたいと思っても相談しなかった」と言います。つまり自殺者の多くは1人きりで悩んでいるため、相談してくれるだけでも「有り難い」「勇気がある」ということです。

以下に日本財団自殺意識調査(第4回)が公開している10のファクトを引用する。

調査からわかる10のファクト

自殺者の多くは助けを求める力がかなり低下している

自殺者の多くは1人きりで悩み、問題を客観的に把握し、助けを求める力がかなり低下している。

調査より、自殺を考えている人は普段から家族(つまり一番近しい人、本来自分を掛け値なしに一番大切に思ってくれる人)から助言を得ることが少ないことがわかっています。また自殺に関する報道や出来事に影響を受けやすく、ニュースや周りで自殺した人がいたら「自分も」と考えてしまい、問題を客観的に把握して自分と相手を分けて考えることが困難になっています。私自身の経験でも学校で自殺者が一人出たら、周りも「死」について悩むようになってしまい、その後も続くように自殺者が出てしまったことがあります。

「死にたい」と言われたら

もし自殺を考えるほど追い詰められた人がいたら、まずはその状態になったことを責めたりせず黙ってお話を聞いてあげましょう。そして一緒にどうしたらいいかを考えてあげましょう。また自殺を相談されたことを自分のうちに秘めたりせず、自分もまた誰かに相談しましょう。(2)

【死にたいと言われたら】

  • あれこれ口を挟まずじっくり聞く。
  • 道徳的な考えの押し付けやダメ出し、具体的な解決策はひとまず置いておく。
  • 興味本位で根掘り葉掘り質問しない。話したくないことは黙っていてもいいという態度で。
  • 簡単に「任せておけ」とは言わない。
  • 相談先を一緒に考えてみる。他に信頼できる人や専門の機関はどこかを考える。
  • 「誰にも言わない」という約束はしない。言いふらすことと相談は違う。
  • 「話してくれてありがとう」と言う。相手が相談するのは良いことだと思えるように。
  • 過度に共感しなくてもいい。
  • 自分も第三者に相談する。

自分も相談する

自殺を考える状況ということは自体が深刻であったり、問題が大きく漠然としている場合が多いため相談されても自分ひとりの力では解決できないことは多いと思う。相談されたことを自分自身心のうちに秘めて1人で対処しようとせず、自分もまた誰か(第三者)に相談することがおすすめです。相談相手はプロの支援者である「こころの健康相談統一ダイヤル」やカウンセリングの先生などがいいと思います。

こころの健康相談統一ダイヤル Tel : 0570-064-556

誰か(第三者)に相談すると言ったら「秘密にして欲しい」「そんなに大ごとにしないでほしい」と言われるかもしれません。そういう場合でも「自分も同じ立場になったらどうしたらいいか知りたいので、どうか一緒に相談させてほしい」と言って、解決への窓口になる形で連絡をとってみましょう。

こころの健康相談統一ダイヤルには専門の方がいる

私の父は「いのちのホットライン(こころの健康相談統一ダイヤルのひとつ)」の電話相談員をしていたことがあります。この電話はボランティアで運営されておりますが、電話相談員の方は1年の研修を受け、実習をして認定を受けた専門の方です。この方々は24時間365日電話を受けられるよう、電話の向こうで待機しています。相談役に困ったらこちらに電話してみるのがいいでしょう。

なお、電話相談員になるには「〇〇県 いのちの電話 相談員募集」で調べてみましょう。各県の電話相談員の募集要項が出てきます。一例として、京都の電話相談員の募集要項リンクを貼ります。

京都いのちの電話 相談員ボランティアについて

自殺のサインに気づく

前述の調査結果にある通り、自殺をする人が相談してくれるとは限りません。そのため、自殺をしそうな人がいたらこちらから気づいて手を差し伸べて、一緒に考えてあげることが大切です。自殺しようとする人は間接的な方法で自殺のサインを事前に周囲に知らせることがあります。以下はそのサインの一例です。(3)

いつもと違う行動をする

  • 急にパチンコやギャンブルにのめり込む
  • 真面目な人が無断欠勤したりする
  • 部屋にひきこもる、口数が極端に減る
  • 周囲への関心がなくなる、新聞やテレビを見なくなる
  • 食事がおいしくない、食欲が減る
  • 深酒が増える、逆にお酒がまずいという
  • 性生活が急になくなる
  • 身だしなみに気をつかわなくなる
  • 一人でいるのを寂しがるようになる
  • 急に昔の思い出話を出したりする
  • 少しのことで不機嫌になって怒りっぽくなる
  • 周囲の音に敏感になる
  • 交通事故や軽微なけがが頻繁におこる
  • 薬をためこむ
  • 包丁や紐を探したり隠し持つ
  • 自殺する場所を下見に行く
  • 手紙や写真の整理をしたりする
  • 大切なものを人にあげたり、整理する
  • 急に昔の級友や遠くに住む家族の消息を気にする

話す言葉が変わってくるようになります

  • 口癖のような訴え「死にたい、死にたい」
  • 状況にそぐわない感謝「お世話になりました」
  • 自分を責めるような訴え「生きていても迷惑をかけるばかりだ」
  • 必要以上に身体にこだわる「もう治らない病気なんだ」
  • 貧困になるいうと思い込み「家族みんなが路頭に迷う」
  • 厭世的、絶望的な訴え「将来に希望が持てない」
  • 「生きている意味がない」

体調の不良がみられるようになります

  • じっとしておれず焦りが強い
  • 痛みや苦痛を強く訴える
  • 頭が重い、ひどい肩こり
  • 便秘になる、よく下痢をする
  • 寝つきが悪い、何度も目が覚める、朝早くから目が覚める
  • 疲労感が強く、特に朝に体調が悪い

「死にたい」と何年も言う人がいても

「死にたい」と訴え続けながら何年も生き延びている人もいるかもしれません。
でもそれは決して「『死ぬ』と言う人に限って死なない」からではありません。
「首の皮一枚」でかろうじてこの世に踏みとどまっている人なのです。
もしも悩める人から「死にたい」と言われたら、まずはその告白に感謝すべきなのだと思います。
何も言わずに逝かれるよりは、チャンスを与えてほしいではありませんか。
相談する人は告白を軽く受け流されることに怯えています。
安易な励ましや説教をされるのではないかと思って告白をためらっています。
だからこそ、相談してくれたら事態を受け止め、じっくりと相手の話を聞き、一緒にどうしたらいいか考えてあげましょう。

参考文献

この記事は以下の文献を参考にしています。また記述は「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」に則っています。(4)

  1. 第4回 自殺意識全国調査報告書
    https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210831-61046.html
  2. 健康の結論(著者:堀江 貴文, 予防医療普及協会)出版社:KADOKAWA
  3. きみ、死にたもうことなかれ 社団法人 大阪精神神経科診療所協会
    http://www.japc.or.jp/handbook/jisibosi/mokuji.html
  4. 自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識
    https://www.mhlw.go.jp/content/000526937.pdf

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