”君にしかできない”ことより、”誰にでも・いつでも”できること

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私は過去2回、骨髄バンクから「適合のお知らせ」を受け取ったことがあります。しかし、2回とも提供までに至りませんでした。そのときに感じ、考えたことを提供者の視点から語らせていただきます。

先にお断りしておきますが、私は骨髄バンクに登録することを推奨しています。登録はしたほうがいいです。その一方でめったに来ない人助けより、誰にでも・いつでもできる人助けを何度もすることのほうが大事かもしれない。献血に行こう(ついでに骨髄バンクに登録しとこう)というお話です。

骨髄バンクからの通知

冒頭でも書きましたが、私は過去2回、骨髄バンクから「適合のおしらせ」を受け取ったことがあります。これは骨髄を必要とする白血病など難病の方とHLA型が一致したというお知らせです。HLA型は数百~数万分の1の確率でしか一致しないため血液型などと違い提供できる方が限られています。数百~数万人を集められて自分にしかできないことなんて他にあるでしょうか。まさに”君にしかできない”ことだと思います。

そんな、めったにない適合通知を私は2回受け取りました。ひとつは2015年、もう一つは2021年のことです。それぞれ直前に研修旅行で海外に行っていたり、仕事で顔に外傷があったりといった理由から(理由は教えてくれないため推察ですが)提供に至りませんでした。

たしかにどちらも提供者として若干の難ありですが、海外に行ったことも外傷も数週間待てば解決する問題です。しかし一度コーディネート面談でお話したきり連絡が来ませんでした。おそらく(患者が体調を崩したのでなければ)他の適合者にコーディネートが移行したのだと思います。

そこで私は思いました「あれ?ドナーを選べるほどドナーたくさんいるの?」と。まぁ、たぶんHLA型にもいろいろと種類があるので私が比較的ありふれたHLA型をしていたため、代えが聞く存在だったのだと思いますが・・・。

ドナー登録数は増えてる、しかし献血の血が減っている

近年ドナー登録者は増えてる

2021年3月時点での骨髄バンク登録数は53万人となっています。また2018~2019 年度は有名アスリートの白血病公表により新規登録者数が大幅に増えているようです。HLA型はたしかに数百~数万分の1の確率でしか一致しませんが、50万人のドナー提供者がいれば数人は他に適合者がいてもおかしくはないのでしょう。

なお骨髄バンクの統計データには、骨髄バンクが出している「過去10年間における骨髄バンクコーディネートの実態把握調査」という資料があります。このなかでドナー終了理由として、連絡つかない住所不明などのほか、確認検査以降はドナーの健康状態が占める割合が多いとされている。おそらく海外に行ったり、軽い外傷を受けていたりと言った理由はこの健康状態に含まれると思います。

コーディネート終了理由にドナーの健康状態が占める割合が多い

なお私はドナー登録に意味がないや、余裕があると言っているのではありません。ドナー登録はみんながして助け合ったほうがいいです。ドナーの数(あるいはHLAの種類?)はまだまだ不足しています。下記は患者さんの理由でコーディーネート(骨髄の提供手続き)が終了した理由の内訳ですが、患者さんの死亡や移植未到達で半数が占められています。提供する患者が多く迅速に提供できればこうした方々も救えたかもしれません。

ドナー登録患者数がもっと多ければ救えたかもしれない・・・

私自身としては、適合して必要とされればたとえ50%の確率で私が死ぬとしても、そして激痛があったとしても提供させていただく意思はあるのですが、2回のコーディネートでどちらも提供まで至れず、お役に立てなかったのはとても残念です。

もっとも、骨髄バンクはまずドナーの命や安全を再重視していますので50%の確率で私が死ぬなんて骨髄バンクのほうが許さないとは思いますが。(理由としては今後、継続的に骨髄を提供するためにも事故を防ぎたいのだと思います。)

献血してくれる人は減ってる

2021年8月31日の日本赤十字社の記事ですが、以下のような記事がありました。

~新型コロナウイルス感染拡大の影響と緊急事態宣言により今後更に厳しくなることが想定されます~
日本赤十字社では、全国を7つのブロック(地域)に分け、そのブロック単位で需要と供給を管理する広域事業運営体制を展開し、安全な血液製剤の安定供給を維持しておりますが、関東甲信越地域では、7月12日~8月8日の計4週間において、400mL献血者数の必要人数89,162人に対し、実際の協力者数が82,871人となっており、献血者の減少が続いています。

私自身も職場で献血したり、近所に来た献血バスなどで献血をしていますが、いずれも人数が少ないことを体感しています。これは職場の方は在宅勤務などが増えたことにより会社に来る人が減ったことで献血に行く母数が減ったのだと思います。また近所の献血バスなどでも、外出する人が減ったため”ついで”で献血していた人の母数が減ってしまったのだと思います。

献血記念品を新たに設けてみたけど

おそらくこうした新型コロナの影響で献血に来てくれる人の数が減ったことに影響を受けて2020年12月から日本赤十字社では献血10回、30回、50回の方に記念品をくれるようになりました。

【令和2年12月1日】選べる記念品スタート!(献血回数10回、30回、50回の方)

私も先日、献血10回目の記念で盃をもらいました。
多田美波さんという造形作家の作品でとても気に入っています。

見た目が美しいハンドメイドのようでありながら、インダストリアル的(工業的)に量産化しやすい形でもあり、見る角度によって透明のグラスに緑色が塗布されているような洗練されたデザインだと思いました。

すばらしい記念品を用意しましたが、それでもあまり献血に来てくれる人の数は増えていないようです。おそらくほとんどの人がこの選べる記念品が増えたことに気づいていないのだと思います。

”誰にでも・いつでも”できること

仕事でもなんでもそうですが、人は自分にしかできないことを重視して、そういったものを探します。そして誰でもできる、しかし必ず必要な雑務を軽く見ます。

でもほんとうの意味で自分にしかできないことなんてあるのでしょうか。

数百~数万人に1人しかいない骨髄バンクですら、代わりがいそうです。

献血のような”誰にでも・いつでも”できることを継続的にするほうが多くの役に立つのではないでしょうか。家事や育児、ちょっとした人助けや仕事などあまり顧みられることはないが確かに人を救っているということはあると思います。

まとめると、献血に行きましょう。そして一緒に骨髄バンクに登録しましょう。ついでに臓器移植の提供カードも持っておきましょう。ということです。

臓器提供意思表示カード

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