楽待が2020年に企画した大家さんデビュープログラムというものをご存知でしょうか。
企画内容を要約すると、
「素人に700万円をあげて不動産投資家になるまでの過程をレポートする」というものです。
700万円がタダで貰えて、かつ楽待の抱えるプロの不動産投資家のアドバイスも貰えるため、
応募者参加者は2000人以上いたそうです。
私も応募しましたが一次の書類選考で弾かれてしまいました。おそらく、
不動産投資をすでに始めて、現金で700万円以上自分で持っていたことが原因だと思います。
さて、この企画の結果ですが高い家賃を取らなければ採算が取れない物件になってしまったため、
私は失敗だったと思います。この失敗の要因は次の2つだと思います。
1, 700万円を無料であげるため使い切らなければ損だと思わせてしまった。
2, 物件種別を戸建て1戸のみに限定してしまった。
この条件で単純に考えると、700万円を戸建て1戸に投じて回収するという作戦になってしまいます。
これはこの発想・作戦の時点で失敗は確定しています。それを理解するには以下の前提知識が必要です。
まず前提の1つ目として、700万円の資金でローンを組まずにする戸建て投資となると、
ボロ物件の再生事業になるということです。(これはアドバイサーの広之内さんの得意とする分野です。)
ボロ物件の再生事業は一般的に10%~30%程度の実利回りを目指すことが多く、
これより利回りが低いとボロ物件のため空室リスクや維持コストにより赤字になる可能性が高くなります。
そして前提の2つ目に顧客(入居者)がボロ物件に支払う家賃額には上限があるということです。
ボロ物件の家賃上限は、立地や物件のグレードにもよりますが、ざっくり概ね5万円が上限です。
この金額(5万円)より高いと新築もしくは築10年程度の新しい物件と競合してきます。
また家賃がだいたい8万円以上になるとマイホームを買ってローンを返済したほうが得だと
思うようになり、ボロ物件の勝ち目がさらになくなります。
上記2つの前提より、戸建てのボロ物件で4万円 利回り20%を期待すると投じて良い金額の総額は
4万円×12ヶ月(=年間の家賃収入)48万円÷20%=240万円
この240万円より多く資金を投じると、空室リスクや維持コストにより
投じた資金の回収ができなくなる可能性が高まります。
もしくは投資資金回収のため、家賃を高く設定して新築やマイホームと競合してしまいます。
つまり、採算がとれる不動産投資のためには
1,総額300万円程度しか使わず不動産投資をする(残り400万円は別の新人投資家に使ってもらう)
2,もしくは700万円で戸建てを2戸買う(大家さんデビュープログラムのルールを曲げる)
このどちらかの発想が必要だったと思います。
しかし、広之内さんを始めとした多数のプロの不動産投資家の方が周りにいた状況で
こうしたアドバイスなどなく、「決めるのは自分」とばかり言って家賃8万円で募集をかけて
何ヶ月も入居者がつかないという自体になっていました。
企画の最後では、入居者がついてめでたし、めでたしという事になっていましたが
この先空室があるたびに入居付には苦労すると思います。
まとめると、不動産投資は投資であり事業であるという性質上、
お金をかければかけるほど良い結果が得られるというものではなく、
投じていい資金の上限が決まっています。そういうことを考えさせられる一例だと思いました。
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